11月に韓国を訪れたことがある人は、少し不思議な光景を目にするかもしれません。この時期には、交通がいつもよりスムーズになったり、お店の営業時間が変更されたり、家族が集まって受験生の合格を祈ったりしている様子が伺えます。
これはこの時期、韓国の全国規模の大学入試であるスヌン(수능)が行われるためです。韓国で一年の中でも特に重要な学業イベントのひとつです。
スヌンはもはや、単なる試験ではありません。韓国の教育や文化と深く結びつき、さまざまな伝統や迷信、特別な食べ物、合格祈願などが生まれ、国全体の日常生活にも影響を与えるものとなっています。
さて、ではスヌンとはいったいどのような試験なのでしょうか? また、なぜ韓国文化においてこれほど重要な意味を持つのでしょうか?
韓国のスヌンとは?
スヌン(수능)は、韓国の大学入試である「大学修学能力試験」の通称です。韓国語では「대학수학능력시험(テハクスハンヌンリョクシホム)」といい、韓国の大学への進学を目指す学生が受験します。日本における「大学入学共通テスト」を思い浮かべていただければ、イメージがしやすいと思います。
大学への入学を目指す学生たちは、この試験を受験します。試験科目は国語、数学、英語、韓国史のほか、受験生が選択した科目に応じて、社会や科学、または職業系科目などが出題されます。
多くの韓国の学生にとって、スヌンは何年も勉強を重ねて迎える大切な一日です。そのため、スヌンは単なる学力試験にとどまらず、韓国の教育文化やポップカルチャーにまで深く関わるようになってきています。

韓国でスヌンがこれほど重要視されるのはなぜ?
韓国社会では昔から教育が重視されており、大学進学は学生本人だけでなく、家族にとっても大きな節目となります。
日本の「大学入学共通テスト」もまたそうであるように、受験生にとって、スヌンは何年にもわたる勉強の集大成ともいえる試験です。試験の結果が大学の合否に大きく影響することもあり、受験生には大きなプレッシャーがかかります。その影響は、本人や家族だけでなく、社会全体にも広がっています。
スヌン当日には、受験生が試験会場に無事に到着し、落ち着いて試験を受けられるように、学校や家族、企業、公共交通機関、行政機関などもさまざまな対応を取ることがあります。これが、スヌンが韓国以外の人々にとっても非常に興味深いものである理由の一つです。一人ひとりが受ける試験が、国全体の一大イベントになるのです。
韓国ではスヌンの前にどんなプレゼントを贈る?
スヌンにまつわる伝統として、受験生に合格祈願のプレゼントを贈ることがあります。日本でも「勝つ」という意味でカツ丼を食べてもらったり、さまざまなお菓子会社が「受かる」「落ちない」「きっと勝つ」などといった言葉をもじったお菓子をこの時期に売り出したりすることはよく知られていますが、同じような文化が韓国にもあるのです。
定番として知られているのが、もち米などを使った粘り気のある飴で、韓国の伝統的なお菓子である「ヨッ(엿)」です。それから「トック(떡)」と呼ばれる韓国のお餅も、合格祈願の縁起物として親しまれています。
なぜこれらのお菓子が贈られるのかというと、その理由は、粘り気のある食感にあります。大学に「くっつく」、つまり志望校に合格するという願いが込められているのです。
スヌンの前に食べると縁起が悪いとされる食べ物は?
粘り気のある食べ物が合格祈願の縁起物とされる一方で、逆に縁起が悪いとされてスヌンの前には避けたほうが良いといわれる食べ物もあります。
その代表例が、韓国料理の「ミヨックク(미역국)」です。わかめスープのことで、韓国では普段から親しまれており、誕生日に食べる習慣もあります。しかし、わかめのツルッとした食感から、スヌンの前に食べると試験で「滑る」、つまり失敗してしまうといわれているのです。日本でも受験生の前では「滑った」「落ちた」という言葉を出さないようにすることと、とてもよく似ていますね。
もちろん、日本でもそうであるとおり、これはあくまで迷信であり、実際に守らなければならない決まりというわけではありません。それでも日本の人々がそうしているように、韓国でも受験生やその家族たちが合格を願うための楽しい習慣のひとつとして親しまれているのです。
韓国の日常生活にまつわるほかの迷信については、こちらの記事もご覧ください!
韓国ではスヌンの前に親が子どもの合格を祈るの?
日本でも受験の前には合格祈願に行く人も多いですね。特に普段は信心深いわけではなくても、寺社仏閣に合格祈願に訪れたり、お守りを買ったりすることは非常に日常的になっています。
韓国でも、スヌンにまつわる合格祈願はよく知られた習慣のひとつです。韓国では試験が近づくと、子どもの合格を願って教会などの宗教施設を訪れる親もいます。スヌンは家族にとっても大切な節目であるため、特に信仰心が強くない人でも合格祈願をすることがあります。
こうした祈りは、必ずしも満点を取れるように願うものではありません。試験当日に子どもが健康で、落ち着いて実力を発揮できるようにという願いも込められています。
韓国ではスヌン当日に受験生をサポートするため、どんな対応が行われる?
スヌン当日は、韓国全土の日常生活にもさまざまな影響が出ます。
たとえば受験生が時間どおりに試験会場へ到着できるよう、交通渋滞やそのほかの混乱を減らすための対策が取られることがあります。渋滞などで遅刻しそうな受験生を警察官がサポートすることもあります。また、朝の通勤・通学ラッシュ時に移動しやすくなるよう、公共交通機関の運行が調整される場合もあります。
地域によっては、朝の混雑を緩和するため、企業や公共機関が営業時間を変更することもあります。試験会場周辺では騒音を伴う活動が制限・調整される場合があり、工事現場などに対して、試験の重要な時間帯に騒音をできるだけ抑えるよう求めることもあります。
その目的はシンプルです。受験生ができるだけスムーズに試験会場へ向かえるようにすることです。

スヌンの試験中、本当に飛行機の離着陸が停止されるの?
スヌンの英語リスニング試験中は、試験会場周辺の騒音を抑えるため、飛行機の離着陸が一時的に制限されます。
もちろんこれは、特定の時間帯に限られた措置です。すでに飛行中の飛行機が、緊急着陸をさせられるというわけではありません。リスニング試験が行われている間、不要な騒音をできるだけ抑えられるよう、航空交通が調整されているのです。
こうした対応からも、韓国が受験生のために静かな試験環境を整えることをいかに重視しているかがわかります。
スヌンを受験する人に韓国語で合格を祈るには?
スヌンを受験する人に、成功を願う気持ちを伝える表現があります。
「대박(テバク)」は、「すごい!」「最高!」といった意味で使われる韓国語です。スヌンの文脈では、受験生が素晴らしい結果を出せるようにという願いを込めて使われます。
韓国の大学に入学するには、スヌンを受験する必要がある?
スヌンは決して、韓国の大学に入学する唯一の方法というわけではありません。これは韓国への留学を考えている留学生は、ぜひ知っておきたいポイントです。
スヌンは主に、韓国国内の大学入試制度を利用する学生を対象としています。一方、海外からの留学生は通常、留学生向けの別の入学選考を通じて出願します。必要な条件は大学やプログラムによって異なります。
出願にあたっては、大学やプログラムの要件に応じて、卒業証明書や成績証明書、パスポート情報、語学力を証明する書類などの提出が求められる場合があります。そのため、韓国への留学を考えている外国人の方は、スヌンを受験する必要があると思い込まず、志望する大学の入学要件を確認しましょう。
韓国で長期的に暮らしたいと考えている方は、こちらもぜひチェックしてみてください。韓国で長く暮らすためのビザについて詳しく紹介しています。
韓国のスヌンに関するよくある質問
1. 韓国のスヌンとは何ですか?
スヌン(大学修学能力試験/CSAT)は、韓国の全国規模の大学入試です。日本の「大学入学共通テスト」と同様に、韓国の学生にとって、大学入試における重要な試験のひとつです。
2. 韓国語で「スヌン」とはどういう意味ですか?
スヌン(수능)は、「대학수학능력시험(テハクスハンヌンリョクシホム)」を短くした呼び方です。日本語では「大学修学能力試験」と訳されます。
3. スヌンは韓国版のSATですか?
スヌンは大学入試に関わる標準化試験であることから、「韓国版SAT」と呼ばれることもあります。ただし、両者は異なる制度に基づく試験であり、同じものではありません。
4. 韓国の大学に留学するには、スヌンを受験する必要がありますか?
一般的に、海外からの留学生は留学生向けの別の入学選考を通じて出願します。必要な条件は大学やプログラムによって異なるため、志望する大学の入学要件を確認しましょう。
5. 留学生が韓国で勉強し、生活するにはどうすればよいですか?
韓国の語学学校選びや出願準備から、韓国での生活に向けた準備まで、Go! Go! Hangukが韓国留学をスムーズに進めるお手伝いをします。
韓国で韓国語を学びたい方は、自分に合った韓国語プログラムを見つけるために、ぜひGo! Go! Hangukにお問い合わせください。また、韓国留学に役立つ情報をお届けするGo! Go! Hangukのブログもチェックしてみてください!